2026年1月31日(土)冬季研究会を行いました。
印象に残ったことをいくつかお伝えします。


Ⅰ 「順序」や「方向」を意識した学習
“世紀の大発見!”見本項と選択項は縦に並べたほうがわかりやすい?



Bさんは、横書き見本の「きつね」では、「ね・つ・き」と並べたり「つ・き・ね」の順番に文字を拾ったりしていましたが、縦書き見本にしたら「き・つ・ね」の順番に文字を拾って並べることができ、発声することもできました。単語としてまとめて捉えることができたようです。
4マス見本合わせでも、見本を置く場所を上にしたら(縦に並べた)、みごとに見本と同じ場所にマグネットを置くことができました。


このことから先生は縦と横の目の使い方について考察し、「まずは縦方向に見ていくこと」これは世紀の大発見!と大変な気づきをしました。
この縦横の話に、ベテラン教員より「そうよ~(みんなやってる)」という反応があり、縦並べにした方が横並べより鏡文字になりにくいことが多かったよ、とかいろいろ話が出てきて、先生は、「縦に並べたほうがわかりやすい」は世紀の大発見だったはずが…と、ちょっとがっかりしていました。でも、とにかく、事例のBさんはこのことで物の見比べ方を変え、着実に成長しています。
ここで、山口県の先生から「世紀の大発見」をもっとほめてあげてください!との声がありました。確かにその通りです!自分で子どもと向かい合ってやり取りをしながら実感としてつかみ取っていくことは教員にとって本当に大事なことだと思います!
そこで、一つだけ心に留めておきたいことは、だからといって「縦並べは横並べよりわかりやすい」という決まりを無造作に子どもに当てはめてしまわないことです。これも一つの方法であり、子どもたちの目や手の使い方、姿勢、どんなことを考えているか…と、様々な角度から考えていくことが大切かと思います。子どもたちもそれぞれの考えを持っているし、同じ教材でも使い方は際限なくあります。子どもたちの様子を見て考えを聞きながら工夫していくことに尽きると思います。
Ⅱ リンゴを描くこと


美術が苦手という高等部生徒が、先生からのちょっとしたヒントでリンゴの絵を描くことができ「俺、天才かも!」と驚いて喜んだという事例です。
美術の時間の「リンゴを描く」という課題で、「マジ、絵、無理!」と言っていたC君に先生はまず上図の赤い部分を描いて見せ、「○のところからどちらにいく?」と問いかけました。青い矢印のどちらへ進むかということです。しばらく考えてC君は矢印の一つを選び○の部分から線を描き始め、自分自身驚きながら、図のようにみごとに描き上げました。
「苦手、できない」と自分で決めつけてしまうことも多いけれど、画用紙に枠を書き、基準点や線の方向について考えるきっかけを作るだけで、こんなふうに変わっていくのですね! ここで、家庭科の先生より、ミシンの使い方もこの絵の話に似ている、まずは、きちんと「はじめと終わり、方向」を伝えること、という意見をいただきました。原則的なことは姿を変えながらいたるところに存在しているようです。
ところで、余談ですが、実物のリンゴには「輪郭線」というものがあるのでしょうか?この立体には、少なくとも線のようなものはありません。私たちは約束事として、この立体の、このように見えるこの部分を輪郭線と言う、と決めています。さらには、リンゴとの距離、見る角度などで、輪郭線は変わっていきます。だから、リンゴの輪郭線を描けないというC君の考えは、実は正しいのだと思います。もっといえば、「線」というものもあるのか?どんなに細く書いても太さを伴ってしまうではないか…ということになります。この話はまたいつかにしますが、結局のところ、輪郭線も人間が作った決まり事であり、だから、私たちはこのような約束事を共有して使っているんだよ、とC君に伝える方法を考えなければと思います。
ちなみに、描画については、このリンゴの課題のように輪郭線という「形」から入る場合もありますが、リンゴの「色」に着目して部分から点描を重ねて形を捉えていく方法もあります。
また、はるか昔の重複研全国大会での梅津八三先生の講演、触画―盲ろうの方が物に触ってその形をとらえたもの― に関する研究で、人は物の形、外界を、どのようにとらえていくのかと考えさせられたことを思い出しました。また、読み直してみたいと思います。
Ⅲ 自分で気づいて学ぶ面白さを伝えたい
長年にわたる支援学校や研究所での経験から、〈大切な出会い〉について聞かせていただきました。
一つひとつ、一人ひとりを大切にしていくことはそう簡単なことではないし、しくじってしまうこともある、でもまたやり直すこともできるよね、と少し勇気づけられました。
近頃の世の中には、すぐに物事の白黒をつけ答を出すのが良いこと、という風潮があるように感じられます。AIに聞けばたいていのことは数秒で答が出るので、そういう思考に慣らされてしまったのかもしれません。でも、世の中はスパッと割り切れることより、迷うこと、答の出ないことの方が本当は多いように思います。白か黒かよりグレーのほうが圧倒的に多い。あれでよかったのか、他の方法は無かったのか…と、これでは言い訳にしかならないかもしれないけど、迷い続けていくことに意味があるのかな、と思ったりします。

※この研究会の記録とアンケート(参加者からの感想・意見など)を掲載しましたので合わせてご覧ください。
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